第39話 これだからコンサルタントはやめられない

「コンサルタント冥利に尽きるとはこのことですよ、細井さん」

 これは、ある財務系のコンサルタント仲間が電話口で発した言葉です。ちょっとしたコンサルティングの技術的な相談で、この方と電話で話をした時、用件が終わって「最近どうしてる?」と聞いた後に、このような生き生きとした返事が返ってきました。

 話の次第はこうです。この方以前、会社を経営していたのですが、運悪く倒産させてしまいました。リーマンショックのあおりを受けて業績は右肩下がり。何とか踏ん張っては見たものの業績は回復せず、多額の借金を抱え倒産に追い込まれました。

 ところがその後、借入金の返済を巡って銀行とのやり取りで辣腕を振るいました。詳しくは書けませんが、要は、自ら自己破産を回避させたというものです。もちろん銀行の借入金を返済せずに。会社は倒産させてしまいましたが、その後の銀行との交渉経験を武器に、見事コンサルタントに転身し大成功を収めたのです。以下は、コンサルタントに転身した後の実例です。 

 数年前この方に、ある小売店を助けてやってほしいと依頼が入りました。販売不振で売り上げがあがらず、キャッシュは底をついてカラカラ。銀行からの融資はストップし、いつ倒産してもおかしくない状態でした。そんな中この小売店に、このコンサルタントの方が乗り込んで実務指導をした結果、なんと見事立ち直ったというのです。

 コンサルティング指導に入った当初は、コンサル料もまともに払えなかったのですが、その後の順調な売り上げのおかげで、最近になってコンサル料の支払いがありました。もちろん銀行への返済も進んでいます。なぜこんなマジックのようなことができたのでしょうか。もちろん、この小売店が必死に頑張ったことが大きいでしょう。しかし、このコンサルタントの方の技術指導や情熱が倒産という危機を上回ったと言えます。

 コンサルタントは事業としてコンサルティングを行っていますので、当然、料金をクライアントからいただいて仕事をします。それによってクライアント企業にしくみが導入され、売上・利益があがればコンサルタントとしての仕事の満足度は高いものになります。

 しかし今回お話しした事例では、コンサル料は後回し。先ずはクライアントの立て直しの為に動いたということです。そしてその後に料金を支払っていただいたというもの。コンサルティング事業としては順番が逆になってしまっていますが、財務立て直し系のコンサルタントは、料金を支払ってもらえないというリスクを冒して仕事をしています。

 しかし今回のように、クライアントが立ち直ってくれることがコンサルタントにとって何よりの喜びであり、まさにコンサルタント冥利に尽きるというものです。仕事の満足感は、入ってくるお金の量に比例しないのです。

 我々コンサルタントは、自分の生活のために仕事を行っているということは否定しませんが、それよりもっと大切にしていることがあります。それはクライアント企業が成長して、社長や社員の人たちが生き生きと働く姿を見られるということです。

 お金以外の満足感が大きいからこそ、長くコンサルタントをやっていけるのです。自分のコンサルティングが世のため人の為に役立つ、そう思っただけでワクワクします。だからコンサルタントはやめられないのです。

 あなたは何のために会社を経営していますか?

 お金以外にも仕事で満足感を得られていますか?