第32話 最近はやりのオンライン○○

 「細井さん、最近奇妙な言葉がはやっているのをご存じですか?」そう言って何やらにやけた表情で話しかけてきたのは、以前当社がコンサルティングを行わせていただき、ただいま奮闘中の会社の社長です。何なのかは知らなかったのですが、たぶんコロナウイルスに関係する言葉だろうと想像しながら続きを聞いてみると、「オンライン飲み会とかオンラインデモっていうんですよ!」ときました。続けてその方、「オンラインコンサルティングって登場しますかね?」

 オンラインで飲み会なんて、そこまでしなくてもとも思います。しかし、「人はなぜ酒を飲むのか」ということをよく考えてみますと、酒自体を楽しむということもありますが、一つには人と会話しながら、店の雰囲気を味わいながら、その時々に合った酒を飲みたいというのが本当でしょう。

 少し前まで町には角打ち(かくうち)がありました。酒を販売する店なのですが、買った酒をその場で呑める酒屋のことを言います。(又はその行為自体を言う場合もあり)今ではほとんどそういった酒屋は姿を消したと思われますが、昔の商店街には1軒か2軒は角打ちがあったものです。近所のおじさんが、買ったワンカップの酒を、スルメをつまみにその場で黙ってうまそうに立ち呑みしているのです。時折店のおかみさんと話しながら。家でゆっくり呑めばいいじゃないかと思った人は酒呑みではありません。やはり外で呑みたいのです、誰かと話しながら。

 非常事態の今、集まれないならせめてオンラインでということなのでしょうが、しかし何といっても居酒屋に集まって、口角泡を飛ばしながら飲むのにはかないません。オンラインで飲み会しても味気ないですよね。なんだか戸惑いませんか。

 ところで、オンラインコンサルティングなるものが登場するでしょうか?気の早いコンサルタントは、オンラインでもコンサルティングできますと言って売り出すかもしれません。しかし、仮に登場したとしても絶対成功しないでしょうね。コンサルティングは本来、クライアントの現状を把握し、コミュニケーションを取りながらクライアントのペースに合わせてしくみを導入していきます。これをオンラインで行うのは無理があります。講演をやっているんじゃないんです。

税理士業務がAIに取って代わられる職業の代表なら、コンサルタントはそうならない職業の代表と言われています。それは、経営は人が行っているからで、人と人の信頼関係がモノを言う職業だからです。

 オンライン○○に振り回されず、人を大切にした経営を行えば、今は苦しくても、人間がコロナウイルスに打ち勝った日には必ず会社は復活できます。その日が来るまで己を磨き、社員とコミュニケーションを取り、社員と一緒に考え、次の世の中に備えましょう。きっといい日が来るはずです。

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