第7話 ショールーム営業で重要なこととは 2019/11/12

以前私がかかわった会社(仮にY社とします)でこんなことがありました。Y社はショールームを持っていませんでしたが、ショールーム営業の有効性をよく理解していたため、取引先のショールームを活用してイベントを開催し成果を出していました。住宅リフォームの需要を掘り起こすべくY社の営業が顧客をショールームに誘引し受注につなげていたのです。

私はこの会社に大変お世話になっていましたので、今回またイベントを開催すると聞いて何かお手伝いできないかと考えていました。そうしたところ私の知人のSさんが自宅のリフォームを予定していて、そろそろ発注段階に来ているという情報を入手したのです。そこで私はSさんに、一度Y社のイベントに行って良ければ発注先を再検討してもらえないかと頼んだのです。私の頼みを心よく受けてくれたSさんは、建築図面をもってY社のイベントに行き、製品の説明や概算見積の提示を受け、しかも運よく抽選で豪華景品が当たり大変満足だったようです。それで私は「これでY社に決まりだな、Y社に恩返しができてよかった」と、うれしい気持ちになりました。Y社の担当者にはこのことを伝え、早めにクロージング(契約)するよう依頼したのです。

ところが数週間後Sさんから電話があり、「申し訳ないが他社に決めてしまった」というではありませんか。「エエーッ!そんな馬鹿な、十分満足していたはずなのになんでだ?」と思い理由を聞いたところ、イベント後しばらくY社から何の連絡もなく、その間に元の会社からいろんな提案やお得情報など頻繁にアプローチがあり、それでそちらに決めてしまったとのこと。Y社が正式見積を持ってきたのはSさんが元の会社に発注した後でした。

私は念のためY社の担当者に事情を聞いたのですが、その担当者は「価格で負けた」の一言。そんなばかな!と口から出そうになりましたが、私とすれば義理は果たしたのだからまあいいかと思いながらも、あれだけ念を押したにもかかわらず担当者は何で動かなかったんだろう、そういったことの重要性はよく理解している会社だと思っていたのに、と残念な気持ちになりました。

先週お話ししたように購買時の意思決定は、自分のニーズとマッチしているということが絶対条件ではありますが、この人に勧められたからとか、丁寧でスピーディーな対応だったとかが大きな要素になります。ショールーム営業を行う場合、立派なショールームを作ろうと思いがちですが、ショールーム自体が最も重要なわけではありません。そうではなくて、ショールームを活用していかに営業力を身につけていくかが大切になってきます。ショールーム自体は立派でなくても小さくてもかまいません。持っていなければ取引先のショールームを活用すればいいのです。

見て触れて体感して製品の良さを顧客に分かってもらえれば、ショールームの基本的な機能は果たしていると言えます。重要なのはショールームに顧客を呼び込むためのプロセス営業や仕掛け、接客、アフター営業、この一連の流れをしくみ作っていくことです。今回のケースは顧客に来てもらうための仕掛け、接客まではよかったのですが、アフター営業が抜けていました。一連の流れがうまく機能しないとせっかくの案件も受注できません。

今週は、ショールームを活用していかに営業力を強化するか、ショールーム営業のしくみづくりがいかに大切かを物語るエピソードでした。貴社はショールームを活用してますか?それによって営業力を強化できていますか?